量子もつれ|アインシュタインも驚いた「離れていても同時に決まる」不思議な関係

これまでの記事で見てきたように、量子の世界では、「確かめる(確認する)」という行為が、結果に深く関わっています

  • 「確かめるまでは、ひとつに決まっていない」
  • 「確かめた瞬間に、はじめて確定する」

この前提に立つと、私たちの常識をさらに揺さぶる現象が出てきます。

アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼んで驚いたもの――それが、「量子もつれ」です。

距離を超えて「セットのふるまい」が残る

量子もつれとは、二つ以上の量子が、強く結びついた状態のことです。

もつれた量子は、どれほど離しても それぞれが別々に自由な答えを持つ存在としては扱えず、
二つで一つのセットとしてふるまい続けます。

たとえば、ペアになった量子AとBがあるとします。
このとき重要なのは、AとBが「同じ答えを持っている」というより、AとBの“関係”が決まっているという点です。

Aを確かめて、結果が確定した瞬間、Bもそれと対応する結果として確定します。

たとえば、次のような対応です。

  • 反対になる」タイプ:Aが右なら、Bは左
  • 同じになる」タイプ:Aが右なら、Bも右

量子もつれには両方があります。
そしてどちらの場合でも共通しているのは、結果そのものではなく、対応のルール(関係)が共有されているということです。

情報が「飛んだ」のではない

ここで多くの人がこう考えます。

「Aを見たという情報が、瞬時にBへ伝わったのでは?」

しかし、量子もつれの説明で大切なのは、ここです。

  • 何かが移動したわけではない
  • Aの合図がBへ送られたわけでもない

もともとAとBは、別々の答えを持っていたのではなく、
ひとつの関係を共有したひとつのシステムとして作られていた。

だから、Aを確かめて「ひとつの結果」が現れたとき、Bにもその関係に沿った結果が現れる。
現代の物理学では、まずそのように理解されています。

「原因と結果」という時間の流れを超えて

重要なのは、ここです。 量子もつれの世界では、「Aが先に決まったから、Bが後で決まった」という順番が成り立ちません。

  • Aが原因で、Bが結果
  • Bが先で、Aが後で決まった

という「時間の前後関係」が、そこには存在しないのです。どちらが主でも従でもなく、「同時に、ひとつの現実が現れる」。 私たちが日常で慣れ親しんでいる「原因があって、結果がある」という時間の流れさえ、ここではそのまま当てはめることができません。

私たちの普段の前提が、覆る

私たちはふだん、世界をこう見ています。

  • ものはそれぞれ独立して存在している
  • 離れているもの同士は、基本的に無関係である
  • 何かが影響するなら、何らかの「やりとり(信号・力・接触)」が必要

これは日常ではとても自然です。けれど量子もつれは、この前提を覆(くつがえ)します。

離れていても、“無関係”とは限らない
別々に見えるものが、関係としては一つに結ばれている場合がある

という見え方を、実験結果として示してしまうからです。

意識や気持ちの話ではなく、物理的な「事実」

量子もつれは、ときどき「テレパシー」「引き寄せ」と結びつけて語られます。
ですが、ここで扱っているのは、あくまで物理現象として確認されている範囲です。

誰かの意識が飛んだわけではありません。
それでも、「離れているのに対応が出る」という事実が、実験で確かめられています。
この確かさと、直感に反する不思議さが同居しているところが、量子の面白さです。

なぜ、私たちはこの「つながり」に気づかないのか

これほどダイナミックな「つながり」が世界にあるのなら、なぜ私たちはそれを感じることなく生きていられるのでしょうか。

量子もつれは、非常にデリケートな状態です。 私たちの日常(マクロの世界)では、あまりにも多くの物質が複雑に絡み合っているため、この純粋な「もつれ」は一瞬で壊れ、平均化されてしまいます。

その結果、つながりは見えなくなり、世界は「バラバラで安定したもの」として現れます。

だからこそ、私たちは安心して距離を測り、個別の存在として暮らすことができています。

日常の感覚が間違っているのではなく、もっと深いレベルに、別のルールがあるということです。

おわりに

量子もつれは、「世界は完全に独立したものの集合だ」という私たちの前提を根本から覆します。

  • 確かめると、結果が確定する
  • もつれた量子は、離れていても関係を共有する
  • 距離があることは、必ずしも無関係を意味しない

この見え方を知ったあとでは、昨日までと同じ風景を見ていても、どこか少しだけ世界が違って見えるかもしれません。

次の記事では、いよいよ、なぜこれほど不確かな量子の世界から、私たちは「たしかな現実」を感じ取ることができるのか。 世界を安定させている、驚くべき「フィルター」の仕組みに踏み込んでいきます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次