量子の話をすると、たまにこんなふうに思う人がいます。
「なんだか不思議。
もしかして、魔法みたいなことが起きるの?」
でも、最初に言っておきたいことがあります。
量子は、魔法ではありません。
「ふしぎに見える」だけで、もともとあったルールです。
たとえば、虹の色。
光が、空気や水の粒に当たると、
色が分かれて見えます。
磁石がくっつくこと。
見えないのに、たしかに働く力があります。
電気が流れること。
目には見えないけれど、
スイッチを押せば明かりがつきます。
どれも、よく考えると不思議です。
でも、私たちはそれを「魔法」とは呼びません。
量子も、それと同じです。
小さすぎて、見え方が変わる
ただ、量子が扱うのは
原子よりも、もっと小さな世界です。
小さすぎて、ふだんの感覚のままでは捉えにくい。
だから、見え方が少し変わります。
「なぜ、ふつうの考え方が通じないの?」で見たように、
同じ条件なのに、結果が少しずつ違う。
見ようとすると、様子が変わる。
どこにあるのかを、はっきり決められない。
そういうことが、実験で確かめられていきました。
ここで大事なのは、
「なんでもあり」になったわけではない、ということです。
量子の世界は、自由に見えることがあります。
でもそれは、好き勝手に起きるという意味ではありません。
むしろ逆で、
「そうなるときは、こうなりやすい」
「こういう確かめ方をすると、こういう結果になりやすい」
という、細かいルールがある。
そのルールを、実験を通して見つけてきたのが
量子の研究です。
だから、量子は
願えば起きる
気合いで変えられる
思っただけで動く
という話ではありません。
もちろん、
人の気持ちや考え方が大切な場面はたくさんあります。
でも、それは量子の「実験の話」とは別です。
このサイトでは、
そこを混ぜません。
量子の話は、量子の話として。
確かめられてきたことを、できるだけやさしく。
まだ分からないところは、分からないまま。
そのまま進みます。
量子は、魔法ではなく、
この世界がもともと持っていた、ちいさな世界のルール。
ただ、それだけです。
次は、量子の世界でよく出てくる
「波みたい? つぶみたい?」
という話に入っていきます。
ふしぎだけど、ちゃんと確かめられてきた話を、
もう少しだけ、のぞいてみましょう。

