前の記事では、原子の中に電子や陽子・中性子があり、さらにその奥にクォークという存在があることを見てきました。
こうした、原子よりも小さい世界には、通常のものとは違う、ある性質があります。
研究者たちは、この「これ以上分けられない最小の単位」としてふるまう性質そのものを「量子(りょうし)」と呼ぶようになりました。
量子とは、原子よりもさらに小さい世界の話です。目で見ることも、手でさわることもできません。
それでも、私たちの体も、身のまわりのあらゆるものも、突き詰めればこの小さな世界の上に成り立っています。
量子は「もの」なのか、「動き」なのか
量子の世界には、少し不思議な性質があります。あるときは粒のようにふるまい、あるときは波のように広がってふるまうのです。「これは粒だ」「これは波だ」と、一方に決めきれない場面が出てきます。
私たちが普段目にしている世界では、ものの位置は「ここにある」とはっきり決まっています。しかし量子の世界では、位置がまだ定まりきっていない、という状態がごく普通に起こります。
「決まっている」が通じない世界
私たちは、この世界の出来事は最終的にはすべて決まっている、と考えがちです。
天気予報や機械の動きのように、必要なデータさえわかれば、ある程度未来を予測できるからです。
ところが、原子よりも小さい世界を詳しく調べていくと、そう単純にはいかないことがわかってきました。
同じ条件で実験しても結果が変わる、観測しようとすると様子が変わる、結果がひとつに定まらない――こうした現象が、何度も繰り返された実験の中で確かめられてきたのです。
量子は、魔法ではない
こう聞くと、量子の話は不思議に感じられるかもしれません。
しかし魔法ではなく、人が実験を重ね、何度も確かめて明らかにしてきた、れっきとした自然のふるまいです
「よくわからないけれど、すごい」で終わらせず、「そういう仕組みがあるのだ」と受け取っていただければと思います。
わからなくて、当たり前
ここまで読んで、まだよくわからない、という感覚があるかもしれません。それも、当たり前のことです。
量子の世界は、世界中の専門家たちが今も日々研究を重ね、探求を続けている分野です。
長年その研究に携わっている人たちでさえ、簡単に「わかった」とは言い切れない世界なのですから、私たちが一度読んだだけで理解できないのは、むしろ自然なことです。
ここから先も、たとえ話を使いながら、少しずつ理解を積み重ねていきます。
次の記事では、「なぜ量子の世界では、ふつうの考え方が通じないのか」について、もう少し詳しく見ていきます。

