同じ「波動」でも意味が違う?科学と日常で使われる言葉を比べてみる

前の記事では、「波動」という言葉が、もともと物理学で使われてきた言葉であることを見てきました。

「波動」というと、どこか不思議なものや、目に見えない特別な力をイメージする人もいるかもしれません。

でも、もともとの「波動」は、そういう意味の言葉ではありません。

物理学では、波動とはどのような現象なのかがきちんと定められ、観測したり、数値で表したりしながら研究されています。

ではなぜ、私たちが普段耳にする「波動」は、少し違った意味に聞こえるのでしょうか。

今回は、

科学でいう「波動」と、日常で使われる「波動」は、何が違うのか。

そこを比べてみたいと思います。

科学でいう「波動」とは

物理学では、波動は、簡単にいえばある場所で起きた振動や変化が、周囲へ伝わっていく現象です。

たとえば、音。

声を出すと声帯が振動し、その振動によって生まれた空気の変化が周囲へ伝わっていきます。

水面に広がる波もそうです。

水面のある場所で起きた動きが、次々と周囲へ伝わっていきます。

光や電波も、物理学では波としての性質を持つものとして扱われています。

そして、こうした波には、

  • 周波数:1秒間に何回くり返すか
  • 波長:波の山から次の山までの距離
  • 振幅:波の揺れの大きさ
  • 速さ:波が伝わっていく速さ

といった、測ったり数値で表したりできる性質があります。

つまり、科学でいう「波動」は、

何となく存在するものではなく、どのような現象なのかを観測し、測定し、数値を使って扱うことのできるもの

なのです。

ここが、まず大切なところです。

では、日常でいう「波動」は?

一方で、私たちは日常で、

「この人は波動が高い」

「この人とは波動が合う」

「この場所は波動が良い」

といった言葉を耳にすることがあります。

ここで使われている「波動」は、先ほどの物理学の「波動」と同じでしょうか。

考えてみると、少し違います。

たとえば、

「この人は波動が高い」と言った時、

「では、何Hzですか?」とは、普通は聞きませんよね。

「この場所は波動が良い」と言ったときも、その「良さ」を波長や振幅などで測っているわけではありません。

多くの場合は、

「なんとなく心地いい」

「この人といると落ち着く」

「この場所にいると気分がいい」

といった、人や場所から受ける感覚や印象を「波動」という言葉で表しています。

つまり、同じ「波動」という言葉でも、

物理学で使われる「波動」と、日常で使われる「波動」では、指しているものが変わっている

ということです。

「波動が高い」と「周波数が高い」は同じではない

もうひとつ、違いがわかりやすい例があります。

日常では、

「波動が高い=良い」

という意味で使われることがあります。

ところが、物理学では「波動が高い」というより、

「周波数が高い」

という表し方をします。

周波数が高いとは、1秒間にくり返す回数が多いということです。

たとえば音では、周波数が高くなると、高い音になります。

でも、だからといって、

「高い音の方が良い」

ということにはなりません。

低い音にも高い音にも、それぞれ違った性質があります。

光や電波でも同じです。

周波数が高い、低いというのは、良し悪しではなく、物理的な性質の違いを表しています。

ですから、物理学でいう「周波数が高い」には、

「良い」

「優れている」

「健康である」

「幸せである」

といった意味は含まれていません。

ここも、日常で使われる「波動」と、科学で使われる言葉との大きな違いです。

同じ言葉でも、意味が変わっている

ここまでを整理してみます。

科学で使われる「波動」日常で使われる「波動」
何を表すか振動や変化が伝わっていく現象人や場所から受ける感覚や印象など
測れるか周波数・波長・振幅などを測ることができる共通した測定方法はない
数値で表せるか数値で表すことができる共通した数値の基準はない
「高い・低い」周波数など物理的な性質を表す良い・悪いという意味を含んで使われることがある
確かめ方観測や測定によって確かめる感じ方や捉え方によって異なる

こうして比べてみると、かなり違いますよね。

もともと物理学で使われていた「波動」という言葉が、日常の中では、もっと広い意味で使われるようになっています。

これは、「波動」という言葉に限ったことではありません。

言葉は、専門分野から日常へ広がっていく中で、もともとの意味とは少し違った使われ方をすることがあります。

「波動」も、そのひとつとして考えるとわかりやすいのかもしれません。

だから、話がわかりにくくなる

日常で「波動」という言葉を使うこと自体が、間違っているということではありません。

ただ、少しわかりにくくなることがあります。

それは、日常で使われる「波動」と、物理学でいう「波動」が、同じものとして語られたときです。

たとえば、

「波動が高い人は健康である」

と言われたとします。

ここでいう「波動」は、

物理学でいう波動を測定した結果なのでしょうか。

それとも、

「元気そう」

「一緒にいると心地いい」

といった印象や感覚を「波動」と表現しているのでしょうか。

同じ「波動」という言葉が使われているため、そこがわかりにくくなります。

さらに、

「周波数」

「振動」

「エネルギー」

といった、実際に科学でも使われている言葉が一緒に登場すると、なおさら区別がつきにくくなります。

ここで大切なのは、

「波動」という言葉そのものがおかしいわけではない

ということです。

もともとの「波動」は、物理学の中で明確な意味を持つ科学の言葉です。

ただ、その言葉が物理学の外でも使われるようになる中で、もともとの定義とは違う意味でも使われるようになった。

まずは、その違いを知っておくだけでも、「波動」という言葉の見え方はかなり変わるのではないでしょうか。

まとめ:同じ「波動」でも、意味は同じではない

  • 「波動」は、もともと物理学で使われてきた科学の言葉
  • 科学でいう「波動」には、周波数・波長・振幅など、測ったり数値で表したりできる性質がある
  • 日常で使われる「波動」は、人や場所から受ける感覚や印象などを表す言葉として使われることがある
  • 物理学でいう「周波数が高い・低い」は、良い・悪いという意味ではない
  • 同じ「波動」という言葉でも、科学で使われるときと日常で使われるときでは、意味が違う
  • 「波動」という言葉そのものが怪しいのではなく、使われる場面によって意味が変わっている

では、もともとは科学の言葉だった「波動」が、なぜ今では「怪しい」と感じられることがあるのでしょうか。

次の記事では、その理由をもう一段掘り下げて考えてみたいと思います。

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