体には回復しようとする力がある。自然治癒力という仕組み

前の記事では、体には一定の状態を保とうとする「恒常性」という仕組みがあり、その調整にも限界があることを見てきました。

では、その限界を超えてバランスが崩れてしまったとき、体はどうなるのでしょうか。

指を切ってしまったときのことを、思い浮かべてみてください。傷口はしばらく痛みますが、消毒をして絆創膏を貼っておけば、数日のうちにかさぶたになり、いつのまにかもとの皮膚に戻っていますよね。

この、体が自ら傷や不調を修復し、元の状態に近づいていこうとする力を、「自然治癒力」と呼びます。もうご存じの方も多いですよね。

傷口の中で、起きていること

指の傷のことを、もう少し詳しく見てみましょう。

傷ができた瞬間、まず血液が固まり、出血を止めます。そのあと、傷口には、免疫の細胞や修復のための細胞が集まってきます。

古くなった組織や、入り込んだ細菌を片づけながら、新しい組織が少しずつ作られていきます。最後には、皮膚の表面が、もとに近い状態へと整えられていきます。

この一連の流れは、段階を踏んで進みます。止血、炎症、修復、再構築。それぞれの段階に、それぞれの役割を持った細胞が関わっていて、ひとつが終わると、次の段階へと引き継がれていくようです。

「治す」ではなく、「治っていく」

ここで、少し立ち止まって考えてみたいことがあります。

私たちはよく、「傷が治った」「体が治った」という言い方をしますよね。

でも実際、治しているのは医療でも、絆創膏でもありません。傷口という現場で、体の中の細胞がそれぞれの役割を順番に果たしていった結果として、傷が閉じていきます。

絆創膏や消毒は、その働きが進みやすい環境を整えているにすぎず、実際に組織を作り直しているのは、体そのものです。

そう考えると、「治す」というより、「体が、治っていく」という表現のほうが、実際に起きていることに近いのかもしれません。

熱が出るのも、自然治癒力のひとつ

自然治癒力には、免疫のしくみも深く関わっています。

体の中にウイルスや細菌が入り込むと、白血球をはじめとする免疫の細胞が、それらを見つけ出し、排除しようとします。風邪をひいたときに熱が出るのも、体温を上げることで、免疫の働きを活発にするための、体の反応のひとつだと考えられています。

「熱が出るのはつらいこと」と感じるかもしれませんが、それ自体が、体が回復に向けて働いている証拠でもある、というわけです。

この力にも、限界がある

ただし、自然治癒力も、万能ではありません。

傷が深すぎたり、細菌の勢いが強すぎたりする場合には、体の力だけでは、修復や排除が追いつかないこともあります。だからこそ、縫合や抗生物質などの医療によるサポートが、必要になる場面があります。

自然治癒力は、体に備わった大切な力です。ただ、それひとつですべてが解決するわけではない、という点も、お伝えしておきたかったことです。

外から整える、ということ

ここまで見てくると、体は決して受け身的な存在ではないことが見えてきますね。

外からの刺激を受け取りながら、その都度状態を調整し、傷つけば修復し、崩れた状態から回復しようとしています。

そう考えると、「体を整える」ということも、外から何かを一方的に加えるというより、もともと体に備わっている調整や回復の仕組みが働きやすい状態をつくることとして捉えることができるのかもしれません。

もちろん、どのような外からの働きかけが、体のどの仕組みにどこまで影響するのかについては、まだわかっていないことも多くあります。

それでも、体が外からの刺激に反応しながら、自分の状態を調整していることは、これまで見てきた通りです。

「整える」という言葉を考えるとき、体そのものが持っている力にも目を向けてみると、少し違った見え方がしてきます。

まとめ:この記事でわかったこと

  • 自然治癒力とは、体が自ら傷や不調を修復し、元の状態に近づいていこうとする力である
  • 傷の治癒は、止血・炎症・修復・再構築という、段階を踏んで進んでいく
  • 「治す」というより「体が、治っていく」というほうが、実際に起きていることに近い
  • 発熱も、免疫の働きを助ける、自然治癒力のひとつの表れである
  • 自然治癒力にも限界があるが、体には、外からの働きかけを受け取りながら調整する力も備わっている

体には、これまで見てきたように、外からの刺激に反応し、内側で調整し、崩れたバランスを、自ら修復しようとする力が、幾重にも備わっています。

次の記事からは、こうした体のしくみを踏まえながら、「波動」という言葉について、改めて整理していきます。

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