前の記事では、私たちの体が素粒子、原子、分子からできていることを見てきました。
では、その体の中では、実際にどのような動きが起きているのでしょうか。
私たちの体は、ただ静かに存在しているわけではありません。
心臓は拍動し、呼吸は吸って吐くを繰り返し、脳の活動にも波があります。そして、体をつくっている細胞の中でも、一定の時間をかけて繰り返される変化が起きています。
こうした「繰り返す変化」を考えるときに出てくるのが、「リズム」と「周波数」という言葉です。
リズムと周波数は、どう違う?
「リズム」と「周波数」は、一般にはとても近い意味で使われる言葉で、どちらも何かが一定のパターンで繰り返されることを表しています。
ただ、少しだけ見方が違うようです。
「リズム」は、ドクン、ドクンという心臓の拍動のように、繰り返しそのものを感じる言葉。
一方の「周波数」は、その繰り返しがどのくらいの速さで起きているのかを、数字として表すときによく使われます。
つまり、同じ繰り返しを、感覚的に見るか、数として見るか。その違いと考えるとわかりやすいと思います。
体には「時計」がある
私たちの体には、およそ24時間の周期で繰り返されるしくみがあります。
これを「概日(がいじつ)リズム」、一般には「体内時計」と呼びます。
朝になると目が覚めやすくなり、夜になると眠くなる。
体温やホルモンの分泌なども、1日の中で変化しています。
こうした変化は、単なる生活習慣だけで起きているわけではありません。
脳の中にある「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という部分が、目から入ってくる光の情報を受け取りながら、体全体の時間を調整しています。
いわば、体の中にある「親時計」のような役割です。
細胞ひとつひとつにも、時計がある
体内時計というと、脳の中にひとつだけ時計があるように思えるかもしれません。
ところが、実際にはそうではありません。
私たちの体をつくっている多くの細胞にも、それぞれ時間のリズムを生み出すしくみがあります。
その中心となるのが、「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子です。
時計遺伝子の働きは、ずっと同じ状態ではありません。
ある時間には活発になり、しばらくすると弱まり、また活発になる。
こうした変化が、およそ24時間をかけて繰り返されています。
肝臓の細胞、筋肉の細胞、皮膚の細胞など、体のさまざまな場所で、このようなリズムが刻まれています。
脳の視交叉上核は、光の情報をもとにしながら、こうした体中のリズムが大きくずれないように調整しています。
少し専門的な言葉が続きましたが、ここで大切なのは「体内時計は、脳だけでなく、体中のあちこちにある」ということだけです。
体内時計も「周波数」で表せる
ここで、最初に出てきた「周波数」に戻ってみましょう。
体内時計は、およそ24時間でひとつのサイクルを繰り返します。
つまり、
朝、昼、夜、そしてまた朝へ。
こうした変化も「繰り返し」です。
繰り返しである以上、理論上は周波数として表すことができます。
24時間は86,400秒です。
そのため、24時間に1回繰り返すリズムを周波数に換算すると、およそ
0.0000116Hz
になります。
とても小さな数字ですね。
でも、この数字そのものを覚えることが重要なわけではなく、
周波数という言葉は、音や電波だけに使われるものではない
ということです。
何かが一定の周期で繰り返されているなら、その繰り返しの速さを周波数として表すことができます。
心拍には心拍のリズムがあり、呼吸には呼吸のリズムがあります。
脳の活動にもさまざまな周期があります。
そして、体内時計にも約24時間というゆっくりしたリズムがあります。
私たちの体の中では、さまざまな速さのリズムが同時に存在しているのです。
リズムがずれると、どうなる?
体内時計のリズムは、光を浴びる時間や食事、睡眠などによって毎日調整されています。
ところが、生活する時間と体内時計のリズムが大きくずれることがあります。
わかりやすい例が、海外旅行の「時差ボケ」です。
現地では朝なのに、体の中ではまだ夜。
時計の針だけを現地時間に合わせても、体の中のリズムはすぐには切り替わりません。
夜型の生活が続いたときに、朝起きるのがつらくなったり、昼間に眠くなったりすることがあるのも、体内時計と生活時間のずれが関係しています。
このようなずれが続くと、睡眠だけでなく、体温調節やホルモン分泌、代謝など、さまざまな体の働きに影響することが研究されています。
私たちの体は、たくさんのリズムで動いている
体内時計について見ていくと、私たちの体が「時間」と深く関係しながら働いていることがわかります。
細胞も、ずっと同じ状態で止まっているわけではありません。
働きが強くなる時間があり、弱くなる時間があり、その変化を繰り返しています。
そして、その「繰り返し」に注目したときに出てくるのが、周波数という考え方です。
周波数とは、何か特別な現象を表す言葉ではありません。
繰り返し起こる変化を、「どれくらいの速さで繰り返しているのか」という視点から見たものです。
そう考えると、周波数という言葉も、少し身近に感じられるのではないでしょうか。
まとめ:この記事でわかったこと
- 私たちの体には、さまざまな「リズム」がある
- リズムとは、繰り返される変化そのもの
- 周波数とは、その繰り返しの速さを数字で表したもの
- 体には、およそ24時間周期の「体内時計」がある
- 体内時計は脳だけでなく、体の多くの細胞にも存在している
- 体内時計の約24時間というリズムも、周波数として表すことができる
- 私たちの体の中には、心拍、呼吸、脳活動、体内時計など、さまざまな速さのリズムが同時に存在している
- 体内時計と生活時間のずれが続くと、睡眠や体調に影響が出ることがある
次の記事では、こうした体のリズムと「ストレス」がどのように関係しているのかを見ていきます。


