前の記事では、私たちの体にはさまざまなリズムがあり、その繰り返しを「周波数」という視点から見ることができる、というお話をしました。
心拍、呼吸、脳の活動、そして約24時間周期の体内時計。
私たちの体は、ひとつの決まったリズムだけで動いているのではなく、短い周期から長い周期まで、さまざまなリズムが重なり合いながら働いています。
では、ストレスがかかったとき、こうした体のリズムはどうなるのでしょうか。
ストレスを感じると、体の動きが変わる
緊張したときのことを思い出してみてください。
胸がドキドキする。
呼吸が速くなる。
手に汗をかく。
体に力が入る。
みなさまも、こうした変化を経験されたことがありますよね。
これは、危険や緊張に対応するために体が起こしている自然な反応です。
ストレスを感じると、自律神経やホルモンの働きを通して、体はすばやく「対応する状態」へと切り替わります。
その結果、心拍や呼吸など、普段から繰り返されている体の働きにも変化が現れます。
つまり、ストレスは「気持ち」の中だけで起きているものではありません。
体の中で刻まれているリズムにも、変化が現れるのです。
「周波数が乱れる」とは、どういうこと?
ここで、前の記事で見てきた「周波数」という考え方に戻ってみましょう。
ストレスがかかると、心拍が速くなったり、呼吸が浅く速くなったり、睡眠やホルモン分泌の時間がずれたりすることがあります。
これらはすべて、体の中で繰り返されているリズムの変化です。
前の記事で見てきたように、リズムを周波数という視点から捉えるなら、一般的には「ストレスによって体の周波数が乱れる」と表現することもできます。
では、もう少し詳しく見てみましょう。
体全体に、ひとつだけの周波数があるわけではありません。
心拍、呼吸、脳活動、ホルモン分泌、体内時計など、体の中では異なる周期をもつさまざまなリズムが同時に働いています。
ストレスがかかると、こうしたそれぞれのリズムに変化が起こります。
つまり「体の周波数が乱れる」という言葉の背景では、体のさまざまな働きが、それぞれ影響を受けて変化していると考えるとわかりやすいでしょう。
心臓は、いつも同じ間隔で打っているわけではない
心臓について、もう少し見てみましょう。
一見すると、
ドクン、ドクン、ドクン……
と一定の間隔で動いているように感じます。
ところが実際には、心臓の拍動の間隔は完全に一定ではありません。
少し速くなったり、少し遅くなったりしながら、細かく変化しています。
この変化を「心拍変動(HRV)」と呼びます。
心拍変動には自律神経の働きが深く関わっていて、緊張しているとき、リラックスしているとき、眠っているときなどによって、そのパターンも変わります。
ストレスを感じたときに心拍数が上がるだけでなく、こうした拍動の変化のしかたにも違いが現れることがあります。
ここで大切なのは、リズムが変化すること自体が、悪いわけではないということです。
運動すれば心拍は速くなりますし、眠ればゆっくりになります。
状況に合わせて変化できることも、体に備わった大切な働きなのです。
呼吸のリズムも変わる
呼吸も、ストレスの影響を受けやすいリズムのひとつです。
リラックスしているときは、ゆっくりと深く呼吸していたのに、緊張すると呼吸が浅く、速くなることがあります。
逆に、安心すると自然に呼吸がゆっくりしてくることもあります。
心拍と呼吸は、それぞれ別々に動いているわけではありません。
呼吸に合わせて心拍の間隔が変化するなど、体の中ではいくつものリズムが互いに影響し合っています。
私たちが普段ほとんど意識していないところでも、体は絶えず細かな調整を続けているのです。
ホルモンにも、一日のリズムがある
ストレスと深く関わるホルモンのひとつに、「コルチゾール」があります。
コルチゾールは「ストレスホルモン」と呼ばれることがありますが、ストレスがかかったときだけ分泌されるものではありません。
私たちが生きていくために必要なホルモンで、代謝や血圧、免疫など、さまざまな働きに関わっています。
そして、コルチゾールにも一日の中で変化するリズムがあります。
一般的には、朝に高くなり、その後、夜に向かって低くなっていきます。
つまりホルモンの分泌も、一日中同じではありません。
時間に合わせて増えたり減ったりしながら、一定のリズムを刻んでいるのです。
ストレスが続いたり、睡眠時間が不規則になったりすると、こうした時間的なパターンにも影響が現れることがあります。
ストレスと体内時計は、別々ではない
ここで、前の記事で見てきた「体内時計」ともつながってきます。
体内時計は、睡眠と目覚めだけを調整しているわけではありません。
体温、ホルモン分泌、代謝など、体のさまざまな働きにも時間のリズムがあります。
そしてストレス反応に関わるホルモンも、この体内時計の影響を受けています。
一方で、強いストレスが続くと、眠りにくくなったり、生活時間がずれたりすることもあります。
つまり、
ストレスと体内時計、そして体のさまざまなリズムは、お互いにまったく無関係ではありません。
ひとつが変化すると、別のリズムにも影響が及ぶことがあるのです。
「乱れる」とは、バラバラになることではない
「自律神経が乱れる」
「生活リズムが乱れる」
「体内時計が乱れる」
そして、
「周波数が乱れる」。
私たちは日常的に、こうした表現を使います。
ただ、「乱れる」という言葉から、体の中で何かが突然バラバラになってしまうようなイメージを持つかもしれません。
実際には、もう少し複雑です。
たとえば、緊張して心拍が速くなることは、それ自体が異常なのではありません。
目の前の状況に対応するために、体が必要な変化を起こしているからです。
問題になる可能性があるのは、緊張した状態が長く続いたり、本来休む時間になっても十分に切り替わらなかったりする場合です。
つまり「リズムが乱れる」というのは、
本来なら時間や状況に応じて変化している体のリズムが、いつものパターンからずれた状態
と考えるとわかりやすいでしょう。
大切なのは「一定であること」ではなく、変化できること
ここまで見てくると、健康な体について少し違った見方ができるようになります。
健康な体とは、すべてが一定で、まったく変化しない体ではありません。
心拍は変わる。
呼吸も変わる。
ホルモンも変わる。
体温も変わる。
眠りと目覚めも繰り返される。
私たちの体は、時間や環境に合わせながら絶えず変化しています。
そして、その変化にはさまざまなリズムがあります。
そのリズムを「繰り返し」という視点から見ると、周波数という考え方につながります。
だからこそ体の状態を考えるときには、
「一定かどうか」だけではなく、必要なときに変化し、必要なときに元の状態へ戻れるかどうか
という視点も大切になります。
ストレスがかかったときには緊張する。
危険が過ぎれば、再び落ち着く。
活動するときには体を動かし、休むときには休む。
こうした切り替えを繰り返しながら、私たちの体はバランスを取っているのです。
まだ、わかっていないこともある
ストレスが心拍、呼吸、自律神経、睡眠、ホルモン分泌などに影響することは、これまで多くの研究によって調べられてきました。
一方で、その影響の現れ方は、すべての人で同じではありません。
年齢、生活習慣、睡眠、体調、ストレスの種類や強さなどによっても違います。
また、「体の周波数をひとつ測れば、その人の健康状態がすべてわかる」ということが、現在の科学で確立されているわけでもありません。
わかっていることと、まだわかっていないこと。
その境界を大切にしながら、体と周波数の関係を見ていきたいと思います。
まとめ:この記事でわかったこと
- 私たちの体には、心拍、呼吸、脳活動、ホルモン、体内時計など、さまざまなリズムがある
- ストレスがかかると、心拍や呼吸、自律神経、ホルモンなど、体のさまざまな働きに変化が現れる
- こうした変化を、日常的な表現では「体の周波数が乱れる」と捉えることもできる
- さらに詳しく見ると、体全体にひとつの周波数があるのではなく、心拍や呼吸、体内時計など、それぞれ異なるリズムが影響を受けて変化している
- リズムが変化すること自体が悪いのではなく、環境や状況に合わせて変化することも、体に備わった大切な働きである
- ストレスが長く続くと、睡眠や自律神経、ホルモンの日内パターンなどに影響が及ぶことがある
- 体と周波数の関係には、科学的にわかっていることと、まだ研究が続いていることがある
私たちの体は、周囲の環境と無関係に働いているわけではありません。光、音、温度、触れる刺激など、私たちは日々さまざまな刺激を受けながら生活しています。
では、こうした環境からの「振動」や「周波数」は、私たちの体にどのような影響を与えるのでしょうか。
次の記事では、ここからもう一歩進んで、環境から受ける刺激と体の反応について見ていきます。

