イングランドの学校教育から考える「スピリチャル」とは

前の記事では、「スピリチュアル」という言葉が、私たちがイメージしているよりも、もっと幅広い意味を持っていることを見てきました。

そして、その中で私がとても驚いたのは、

イングランドの学校教育に、“spiritual development” という言葉が実際に登場することです。

もちろん、日本でいう「スピ系」を学校で教えている、という意味ではありません。

では、教育の中で使われている spiritual とは、いったい何を意味しているのでしょうか。

気になったので、もう少し詳しく調べてみました。

学校教育の中で「spiritual」が大切にされている

イングランドでは、子どもたちの成長を考えるとき、学力や身体的な発達だけではなく、

spiritual(精神的・霊的)
moral(道徳的)
social(社会的)
cultural(文化的)

な発達もとても大切にされています。

これらは頭文字を取って、SMSC(Spiritual, Moral, Social and Cultural development) と呼ばれています。

では、この中の “spiritual development” とは、何なのでしょうか。

学校教育の中でいう「spiritual」という言葉を見ていくと、私たちが日本で「スピリチュアル」と聞いたときに思い浮かべるものとは、少し違っていることが見えてきます。

「spiritual development」では、何を育てるのか

Ofsted(イングランドの教育水準局)が学校評価で用いてきた説明では、子どもたちの spiritual development に関わるものとして、たとえば次のようなことが挙げられています。

  • 自分自身の信念や人生観について振り返ること
  • 他の人の信仰や感情、価値観について知り、尊重すること
  • 自分自身や他者、世界について学ぶことに、楽しさや驚きを感じること
  • 想像力や創造性を使うこと
  • 自分自身の経験を振り返ること

こうして見ると、どうでしょうか。

そこにあるのは、

「不思議な力を信じる」

「目に見えない存在を信じる」

といった話ではありません。

むしろ、

自分は何を大切にしているのか。
他の人は、どんな価値観を持っているのか。
世界をどう見ているのか。
自分の経験から、何を感じ、何を考えるのか。

そうした、人間の内面に関わる部分が大切にされています。

“おもいやり”という言葉が浮かんできました。

「spiritual」は、宗教だけを意味する言葉ではない

spirituality は、歴史的には宗教と深く関わってきた言葉です。

ただ、イングランドの教育でいう spiritual development は、特定の宗教を信じることだけを指しているわけではなく、

自分は何を大切にしているのか。
どんな価値観や信念を持っているのか。
人生や世界をどう捉えているのか。

そうしたことについて考えることも、spiritual development に含まれています。

学校には Religious Education(宗教教育)という別の学びもあるようですが、spiritual development は特定の教科だけではなく、学校生活やさまざまな学びを通して育まれるものとして考えられています。

「問いを持つこと」も、精神的な成長なのかもしれない

ここまで調べてきて、私が「spiritual」という言葉からイメージしていたものよりも、

考えること、感じること、振り返ること、問いを持つこと

が、とても大切にされていることがわかりました。

実際、宗教教育でも、

「人生にはどんな意味があるのか」

「人間とは何なのか」

「何を信じるのか」

「どう生きることが良いのか」

といった、簡単には答えの出ない問いが扱われています。

考えてみると、こうした問いは、宗教だけのものでもありません。

哲学でも、ずっと考えられてきた問いですよね。

そして私たち自身も、人生の中で何度も向き合うことがあります。

「私は何を大切にしたいのだろう」

「どう生きたいのだろう」

「幸せって何だろう」

「なんのために生まれてきたんだろう…」

これらは、答えがすぐに出るものばかりではなく、

むしろ、簡単に答えが出ないからこそ、考え続ける問いなのかもしれません。

「spirituality」は、思っていたよりずっと広い

ここまで見てくると、「spirituality」という言葉がわかりにくい理由も、少し見えてきます。

宗教

精神性

人生の意味

価値

内面の探求

他者や世界とのつながり

そして日本では、そこに魂、宇宙、波動、エネルギー、直感といったものまで含めて「スピリチュアル」と呼ぶことがあります。

あまりにも幅が広いですね。

だから、「スピリチュアルとは何ですか?」と聞かれても、一言で答えるのは難しいのは当然かと。

私自身も、調べれば調べるほど、

「では、スピリチュアルとは結局何なのだろう?」

という問いが、むしろ深くなってきました。

すぐに答えを決めてしまうのではなく、さまざまな使われ方を見ながら、少しずつその輪郭を探していく。

このサイトでも、そんなふうに考えていきたいと思っています。

まとめ:この記事でわかったこと

  • イングランドの学校教育では、“spiritual development” が子どもの成長のひとつとして大切にされている
  • そこでは、信念や人生観を振り返ること、他者の価値観を知ること、世界に驚きや関心を持つこと、想像力や創造性などが重視されている
  • “spiritual” は特定の宗教を信じることだけを意味するものではない
  • spirituality は、宗教、精神性、人生の意味、価値観、内面の探求など、非常に幅広い意味で使われている
  • 「スピリチュアルとは何か」をすぐに決めるのではなく、さまざまな使われ方を見ながら、その輪郭を探していくことが大切なのかもしれない

ここまで見てくると、「スピリチュアル」は、単純に「科学では説明できない不思議な世界」を表す言葉ではないことが見えてきます。

では、

科学とスピリチュアルは、そもそも同じ土俵で比べるものなのでしょうか。

科学は、何を明らかにしようとしているのか。

そして、spirituality が向き合っているのは、どんな問いなのか。

次の記事では、この2つを比べながら、一緒に整理してみたいと思います。

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